「遅れてごめんな?仕事で色々あって」
「いいえ。来てくれただけで嬉しいです」
「…連絡、待ってた…」
「…っ…ごめんなさい…私…」
直幸さんと最後に電話をしたあの夜からずっと考えていた。
きっと直幸さんと結婚出来たら、凄く幸せだと思う。
優しくて、頼りになって、仕事も出来る。
同級生とは違って大人で、だけど可愛い一面もあって。
何よりも素直に、全身全霊で愛してくれる。
でも…
「もしかして、好きな人いるの…?」
「……っ」
「……そっか。最初に聞いておくべきだったんだよな…その人とは付き合ってるの?」
「まさかっ!!付き合ってたらお見合いも食事にも行かない……それに私、その人に嫌われてるから」
「それでもその人の事好きなんだ……なあ、俺じゃ駄目か?俺ならそんな顔、絶対にさせない。一生大切にする。だから…俺と結婚してほしい…」
直幸さんは瞬きをする間もないぐらい真っ直ぐに私を見つめてくる。

