君のいる世界





ガチャガチャガチャ!



私は屋上のドアノブを何度も何度も捻る。


だけど、鉄製のドアには鍵が掛かっていて全く開かない。




「なんで…っ……なんで開いてないのよぉ…」



私はドアに両手を着き、左手の甲に額を当ててズルズルとしゃがみ込んだ。


止まっていた涙が再び溢れて頬を濡らす。




会長…


私、もうわかんないよ…


どうしてこんなことするの?


復讐のため?


それとも、ただの気まぐれ…?




片想いは…本当に辛いね…


私、もう疲れちゃったよ…


貴方を好きでいることに。






「帰ろう…」



康君が校門で待ってる。


いつもと変わらない優しい笑顔で迎えてくれるはず。


あの笑顔を見たら、きっと元気になれる。




私はブラウスの外れたボタンを掛け、ブレザーを羽織る。


鞄の中にあったハンドタオルで、涙で濡れた頬を拭ってから階段を降りた。