そしてお見合い当日の夕方。
私は祖母と父親と小出財閥が経営する都内の高級ホテルに来ている。
机を挟んで向かい側に座るのは、小出財閥の会長婦人、社長と社長婦人、そしてお見合い相手の小出直幸さん。
どうやら会長婦人と祖母は某名門学校の級友らしく、お見合いが始まってからというもの主役そっちのけで会話に花を咲かせている。
それから少し親同士が話したものの、私達が挨拶以外で会話する事のないままお見舞いは終わりの時間を迎えた。
政略結婚なんて、子供の私達には選択権はない。
このお見合いは形だけで、所詮主役の二人が会話をしなくてもお互いを気に入らなくても、そんなの関係ない。
この先の結婚は、もう既に決定事項なんだから…
私達は見送ってくれる皆さんに挨拶をしてホテルを出る。
玄関の前のロータリーではおじさんがいつもより大きい高級車の横に立って待っていた。
そして祖母が車に乗り込もうと身を屈めたその時…
「麗奈さん!!」

