部屋に戻ると康君が眉を下げながら言った。
「本当にするのか?…お見合い」
「…これが私の運命だもん。いずれは何処かの御曹司とするんだから、それが少し早まっただけだと思えば全然平気」
私は康君にわざと平気な振りをして笑ってみせる。
だけど、康君には私が無理してるのなんて隠し通せるわけもない。
「麗奈。本当に、後悔しないのか?まだあいつが好きなんだろ?このままでいいのかよ」
「三ヶ月前、佳菜子が私を大切な親友って言ってくれた。私の真っ暗な人生の中に、親友っていう花が咲いたの。それだけで私、幸せだよ。こうなったらお祖母様が腰抜かしちゃうぐらい谷本を大きくして、沢山の人の力になれるように頑張る!!だから康君は心配しないで?」
「麗奈…」
「さ!私はもう寝るから、出てって!ほら、早く」
私は康君の背中を押して部屋の外に追い出してドアを閉めた。

