「お見合いは来週の土曜日です。いいですね?」
「…私には断る権利もないんですね?」
祖母は私の問いには答えず、お茶を啜っている。
「わかりました。お見合いします」
「それでこそ、我が家の一人娘です。では、私はこれで」
そう言って立ち上がった祖母は、口元に笑みを浮かべてドアの方へ歩いて行く。
その後を、ずっと立っていたおじさんが慌てて追いかけドアを開けた。
「そうそう。当日はあなたにも出席して頂きますからそのつもりで」
祖母が軽く視線を送ると、父親は何か言いたげに顔を上げる。
だけど、開いた口をすぐに閉ざし下唇を噛んだ。
「わかりました」
祖母は鼻でふっと笑い、応接間を後にした。
私もすぐに立ち上がりドアに向かう。
「…麗奈…すまない」
背後から父親が声にならないような掠れた涙混じりの声で言ったのを、私は聞いてない振りをした。

