君のいる世界





「私……何も出来なかった…谷本麗奈としても、谷本財閥の社長令嬢としても…」



私は泣きしゃっくりを繰り返しながら必死で言葉にした。




「謝ってももう遅いってことはわかってる…それでも謝り続けることしか私には出来ない……だけど、謝ることさえさせてもらえなかった…」



「うん…」



「それなら……私をめちゃくちゃに…してって……っ…それで気が晴れるなら…私はどうなったって…構わないから」



「…めちゃくちゃにしてって…?それ、どういうこと?」



佳菜子はそう言って私の両肩を掴み、バッと勢いよく身体を離した。


私の目をジッと見つめたまま眉を寄せ、心なしか瞳が揺れている気がする。




「…っ……会長と出会った頃、言われたの。谷本財閥の大切な物、壊してやるって……だから、あの時の言葉通り…私を復讐の道具にしてってーーーーー…」





パチーーーンッ!!!


何もない更地に、痛痛しい音が鳴り響いた。