「馬鹿!!心配したんだから!!」
佳菜子はそう言って、私を抱きしめる腕の力を更に強めた。
「…どう…して?ここ…」
「柳田さんに麗奈が帰って来ないって連絡頂いたの。それでまだ中澤さんと話してるんだと思って、中澤さんの家に電話してお母様にバイト先を聞いたのよ」
「そう…」
ふと他の人達を見ると、エプロン姿のトミさんと懐中電灯を持った康君が安堵の表情を浮かべて立っていた。
佳菜子の温もりや二人の優しい笑顔を見た途端、凍っていた心が一気に溶けていった。
さっきまでの無気力な自分が嘘のように、鼻の奥がツンとして涙が溢れてくる。
「…っ、ごめんなさい…皆…ほんと…にっ…ごめんな、さい…」
佳菜子は私の背中をゆっくりと優しく撫でてくれた。

