スタンドの裏は何もない更地。
こんな所に、こんな時間に来る人がいるなんて危ない人達以外考えられない。
逃げないと危ない目に合う、なのにこんな時でも私の身体はピクリとも動かない。
足音はもうすぐ側まで来ていた。
足音が止まったと同時に、ピカッと懐中電灯の白い光がスポットライトのように私に当てられた。
「……っ!!」
眩しさのあまり思わず手で目を覆い、光の放たれる方に視線を向ける。
だけど光が眩し過ぎて、黒い影が動いてるのはわかるけど顔が見えない。
「…麗奈!!」
すると突然その中の一人が名前を呼びながら駆け寄って来て、しゃがんでいる私に抱きついた。
その瞬間、冷えた身体をすっぽり覆われホッとする温もりと柔らかい感触、薄っすら甘い香水の香りが鼻を掠めた。
「…佳菜…子…?」

