私は感情無く、まるで人形のように待受画面に表示された名前を見た。
心配してる。
康君も、トミさんも。
昨日のことがあるから尚更…
「…帰らなくちゃ…」
もう心配掛けないって決めたんだから。
でも、立ち上がろうとしても身体が言うことを効かない。
足に力が入らない。
携帯の通話ボタンを押すことさえ怠い。
今は何もしたくなかった…
私の腕は力を無くしたようにだらんと下がり、手の中からスルリと携帯が砂利の上に転がった。
それからボーッと真っ暗な夜空をただただ眺めていた。
恐らくとても長い時間、ここにしゃがみ込んでいたと思う。
スタンドの方からザクッザクッと砂利を踏む慌てたような足音が聞こえてくる。
音の数からいって一人ではなく数人のもので、その足音は確実に近付いて来ている。

