君のいる世界





どれぐらいそうしていただろう。


長いキスの後、ゆっくりと白い糸を引きながら唇が離れた。


まだ息がかかる程近くにある会長の表情は色っぽく、熱い眼差しから目が離せない。




ドンッ!!


すると突然、会長は私の顔の横で壁を思いっきり叩いた。




私は思わず目をギュッと瞑る。


ややあって恐る恐る目を開けると、会長は俯いていて少し震えているようだった。




「…か、いちょう…?」



「…お前が…あの男の、娘じゃなきゃ…良かったのに……」



掠れた声で言葉に詰まりながら言うと、会長は走って行ってしまった。


支えを失った私は、壁に寄り掛かるようにしてズルズルとしゃがみ込む。


目から大粒の涙がポタポタと落ち、スカートから剥き出しになった膝を濡らした。