「あの…お父さんの事故の事…父から聞いたの」
私がそう言うと、会長の肩がピクッと揺れたのがわかった。
スタンドの裏は灯りがなく、少し離れた所に立つ会長の顔は見えない。
「謝っても、謝りきれないことを…谷本財閥は……父はしてしまった。本当に、本当にごめ……「「やめろよ!!!」」
会長は声を荒げて私の言葉を遮った。
その声に、私は思わず首をすくめる。
「今更、謝ってもらおうなんて思わない。そんな事されても親父はもう…戻ってこない」
わかってる…
いくら謝っても足りないこと。
数千回、数万回謝っても許してもらえない。
会長の悲しみがこの先消えることはない。
私は無力で…
こんな時どうしていいのかさえわからない。
それでも私は、少しでも会長の悲しみが和らぐように…
その為なら何だってしたいと思う。

