「おい、中澤!今のうちに休憩入れ!」
「あ…はい!!」
会長はパッと私から視線を逸らし、そのまま店内に入って行った。
そして、すぐにパーカーを羽織って出て来ると一直線に私の方へ向かってくる。
その表情は眉間に皺を寄せていて、怯んでしまいそうなくらい怖い顔をしている。
「来い!」
私の目の前まで来ると、会長は私の手首を強く掴み無理矢理引っ張って歩き始めた。
私は何も言葉が出てこなくて、ただ引っ張られるままについて行くしか出来なかった。
「お前、こんなとこで何してんだよ?」
ガソリンスタンドの裏側に回ると、会長は手首を離して私を見ずに怒りが篭った声で言った。
掴まれていた手首は短時間だというのにもう赤くなっている。
「昨日のことが気になって…でも学校休んでたから…さっき、たまたま琴音ちゃんに会ってここでバイトしてるって…聞いて…」
恐怖なのか緊張なのかわからないけど、声が震え口から出てくる言葉はぎこちない。
会長は何も言わず、重いどんよりとした空気が二人の間を漂っている。

