商店街を抜けた頃、時刻は17時を過ぎていた。
大通りには徐々にスーツを来た男性や膝丈のスカートにジャケットを羽織った綺麗めな格好の女性の姿が増えて来て、さっきよりもごった返している。
私はその人達の間を縫うようにしてガソリンスタンドに急いだ。
駅前から走ること数分の所にそれはあった。
私は息を整えながらスタンドを覗き、会長を探す。
スタンドには数台の車が停まっていて、ガソリンを入れたり窓を拭いたりしてる数名の男性の店員がいた。
「ありがとうございました!!」
聞き覚えのある声が耳に届き視線を移すと、去って行く車に向かって頭を下げている会長の姿があった。
いつもと違う凛々しい会長に、心臓がドキッと跳ね上がる。
頭を上げて振り返った会長は、私の姿を見つけると目を大きく見張った。
「…っ、お前…」

