商店街を50m程進むと、【麗らか弁当】と書かれた黄色い看板が店の前に置いてあった。
「ここです。私のバイト先」
琴音ちゃんは「ちょっと待ってて下さい」と言って店の奥に入って行った。
私も後に続いて店に入り、ぐるっと店内を見渡した。
店内の広さは四畳半ぐらいと狭く、弁当のサンプルが並べられたカウンターがある。
カウンターの奥には調理場があって、お客さんから見えないようにカーテンで仕切られていた。
壁には新発売のポスターやらオススメ商品の紹介、売れ行きランキング等が書かれた黒板が掛けられている。
他にも可愛い装飾が施されていて居心地がいいアットホームなお店だった。
「麗奈さん、すみません。店長を紹介しようと思ったんですけど、ちょうど席を外してて。麗奈さんに助けてもらったことを店長に話したら、じゃあお礼にご馳走しなくちゃって張り切ってたんですけど…」
「じゃあ、それはまたの機会に。今日はその生姜焼き弁当を一つ買って行こうかな」
私は琴音ちゃんが包んでくれた弁当を持って店を出た。

