君のいる世界





昼休み。


佳菜子と屋上のコンクリートの地面に座り弁当を広げる。


喉に物が通らなくて、トミさんが作ってくれた弁当を箸でつつく。




「……奈?…もう!麗奈ってば!」



「…ふぇ…?」



「ふぇ?じゃなくて!さっきから心ここに在らずだけど、何かあった?」



あの後、康君は遅刻しないようにちゃんと学園まで送ってくれた。


校門前に着いた時にはすでに仕事用の笑顔を浮かべていて、さっきまでの弱々しい康君はいなかった。


私も出来るだけいつもと変わらない態度で接したつもりだったけど、あんな風に完璧に出来た自信はない。




私はここ数日、色んな事があって頭も心もパンク寸前まで追い込まれていた。


佳菜子に話したらだいぶ楽になるんだろうけど、なかなか自分の中で上手く整理がつかない。




「今日は車で登校したんだね。柳田さんと仲直りしたんだ?」



佳菜子はふぅっと息をつき、口元に笑みを浮かべて私が話しやすいような空気を作ってくれる。