「旦那様は毎月決まった日にちに休みを取って、ご友人のお墓参りと事故現場に花をお供えしに行くのよ。それが今日。五年前からずっと欠かすことなく行ってらっしゃるわ」
「…っ!!それって…」
心臓がドクンッと重く揺れる。
五年前から欠かさずに…?
会長はそんなこと一言も言ってなかった…
「今朝、麗奈さんを一番早く探しに飛び出したのは旦那様なの。無事に学園に着いたって報告を受けた後、その足で事故現場に行って、夕方また連絡取れなくなった麗奈さんをお墓参りを後回しにして探してらしたのよ?」
「…あんなに私に無関心なのに…信じられるわけないよ」
「旦那様は本当に無関心かしら?私にはそうは思えないわ。麗奈さんがホットココアにマシュマロを入れるのが好きってご存知だったし、無関心なら予定を変更してまで探し回ったりしない」
トミさんは「不器用なのよ、旦那様は」と口元に笑みを浮かべた。
手に持っていたマグカップはすっかりと温くなり、浮かべたマシュマロは半分以上小さくなっている。
動揺を鎮めようと口にマグカップを運ぶと、ココアと一緒に流れ込んできたマシュマロが口の中で甘さだけを残してすぐに溶けて姿を消した。
ーーーーーーーーー・・・・

