「大輝君とはどういう関係なんだ?」
父親は資料の字を目で追いながら、声色を変えずに言った。
その相変わらずぶっきら棒な態度に苛立ちさえ覚える。
「…学園の…同級生です…」
同級生…
そう…会長と私の関係はたったそれだけ。
なのに、私は何をあんなに浮かれてたんだろう。
会長が幼少の頃に家族と過ごした思い出の街とお父さんのお墓に連れて行ってもらっただけで、会長の特別になれたような気になって…
ホント、馬鹿みたい…
特別なんかじゃないのに。
あの街に連れてきてくれたのは、私が康君の事で悩んでいたから。
“友達として”気分転換に連れてきてくれて、それが今日たまたま月命日だっただけ。
ただ、それだけなのに…
私は自分の言葉に胸が痛むのを感じ、スカートを握り締めた。

