君のいる世界





「親父……親父はこんな俺を…許してはくれないだろ?」



曲がったことが大嫌いだった親父。


昔、喧嘩した友達の陰口を言ったら『陰で悪口言うなんて卑怯で、弱い奴がやることだ!』って本気で怒られたことがあった。



『正々堂々と立ち向かえ』



その言葉を聞いて、俺は喧嘩した翌日友達に素直に謝ることが出来た。


親父はそんな俺の頭を少し荒くグリグリ撫でながら『大輝は強い!』って褒めてくれたっけ。




でも、今の俺を親父はきっと幻滅してる。


だから今日、海を見ててもいつものようにスッキリしなかった。


海岸で親父が隣りに座ってるような安心感も、今日は感じなかった。




本当はわかってる。


このままじゃいけないことくらい…


あの事故を、あの男のせいだと決めつけ恨んでいるけど……実際はーーー。