君のいる世界





ふと昨日の放課後、街で見た会長の笑顔が頭を過った。


あれは、弟さん…かな?
凄く優しくて、愛情たっぷりの笑顔だった。


家族にはあんな風に笑うのに、どうして学園では笑わないんだろう。


ツンケンしてるより、昨日の会長の方が断然いいのに…


って!断然いいって…
私には会長がどうであろうと全く関係ないことで、会長がムカつく奴だってことに変わりはないけど!





「会長が起きないうちに行こ」



会長が万が一目を覚まして、寝顔を見てたなんてことがバレたら大変だ。


音を立てないようにさっと立ち上がり、足を踏み出そうとした、その時。



「…っ、きゃあ!!」



突然手首を掴まれ、そのまま思いっきり腕を引かれた。


ソファで横になってる会長の胸に突っ伏す体制になり、腰にはしっかりと腕が回っている。