心臓が大きな音を鳴らし始め、目と鼻の先にいる会長に聞かれてしまいそうで咄嗟に離れた。
こんな煩い心臓…気付かれたら恥ずかしすぎる。
「ふっ。慌て過ぎ」
会長はふっと笑いながら私の額に軽くデコピンをして、塀から颯爽と飛び降りた。
その姿さえもかっこよく見える。
私はデコピンされた額を手で抑えたまま見惚れてしまった。
昨日康君とあんな事があって男の人は怖いって傷付いたばっかなのに、私はなんて現金なんだろう。
「おい。ぼんやりしてんなよ」
そう言った会長は、私を見上げ両手を伸ばしてくれる。
トクン、トクンと規則正しく心臓が揺れ動く。
“俺が受け止めてやるから安心しろ”
そう言わんばかりの瞳と頼もしい表情。
……この人はどれだけ私をドキドキさせれば気が済むの?
会長は他の男の人とは違う…絶対に。
そう思ったのに…
「見つかる前に早くした方がいいぞ。パンツ見えてる」
…へ?パンツ?
「……っ!!ーーーーー!!!」
言葉にならない叫び声が辺りに響いた。

