会長は今どんな顔してるんだろう…
今、凄く…凄く会長の顔を見たい。
私は頭の中で、私が知ってる会長を思い浮かべた。
きっと、勇ましくて男らしく…だけど何処か優しい表情で私を見てくれてる。
そんな会長を想像しただけでも頬から耳にかけて火照っていくのがわかった。
重症だな…
私は塀から少し離れた。
怖いけど、会長は絶対掴んでくれる。
だから大丈夫。
私は軽く深呼吸をし、助走をつけて地面を蹴った。
「きゃあ!」
塀にぶつかる!!
私は怖さのあまり目をギュッと瞑った。
だけど身体に感じたのは痛みではなく、大きな温もりだった。
「上出来」
頭上から暖かい声が聞こえた。
頭をポンポンと撫で、目を細めて柔らかく微笑む会長。
どうやら私がジャンプした後、会長は上手く手を掴んで引き上げてくれたようだった。
引き上げた時の反動で私が会長の胸に凭れ掛かるよう倒れ込み、抱き締められる態勢になってしまったみたい。

