「…ここ登るの?」
私達はあの後すぐに生徒会室を出て靴を取り、昇降口から出ずに裏口に回った。
そのまま校門の真逆の体育館裏まで急いで来たわけだけど……
今、私の目の前には身長よりも遥かに高いコンクリートの塀がそびえ立っている。
「っ、よっと!」
会長は私の質問に答えずジャンプして塀に手を掛け、いとも簡単に上までよじ登った。
「ほら。手、伸ばせ」
「へ?」
「俺が引き上げてやるから」
「で、でも…」
塀は私が背伸びをして手を伸ばしても届かないぐらい高い。
会長が私が掴まれるように伸ばしてくれてる手ならジャンプしたら届きそうだけど…
こんな高い所登ったこともないから正直怖い…
「大丈夫だから。俺を信じろ」
会長を見上げると背後に沈みかけた太陽が最後の力を振り絞って白い光を放っている。
そのせいで会長の顔に影がかかり、表情が見えない。

