声の主は会長で、眼鏡を掛けソファに座って新聞を読んでいた。
普段掛けていない眼鏡姿に胸の鼓動がドキッと跳ね上がる。
眼鏡を掛けただけなのに色っぽさがグッと増したようだった。
「いいのか?運転手待ってんだろ?」
「え?」
「…女子が騒いでた」
会長は新聞を机に置いて窓の側まで移動した。
「ふっ。相変わらず凄い人気だな」
「……」
ここまで康君が人気だったなんて知らなかった。
これじゃ噂なんていつまでたっても消えないよ…
「原因はあれか」
「…原因?」
「お前がそんな顔する原因。…何かあったんだろ」
会長は腕を組んで窓の外をじっと見たまま言った。
あれって…きっと康君のこと言ってるんだよね?
生徒会会議もないのに運転手を待たせておいて、焦った様子でここに駆け込んで来たら誰だって何かあったんだって察しがつくし。
私はこちらに背を向けてる会長に見えるはずがないのに、なんて答えたらいいかわからずただ頷いた。
「……よし。行くか」
「え?行くって…何処に?」
「ここにずっといても仕方ねぇだろ?」
会長はニヤッと口の端を上げて悪戯そうな笑みを浮かべる。
私の心はこんな時も正直で、胸がキュンっと締め付けられた。

