校門には見覚えのある黒い高級車と姿勢正しく立つ康君の姿がある。
周りには恐らくファンクラブの女子達が群がり、若干康君が苛立っているのかわかった。
どうしよう…迎えに来たんだ。
今はまだ会いたくない…
佳菜子は夕方用事があると言ってHR後すぐに帰ったみたいだし…
このまま教室にいたら、痺れを切らした康君が教室まで迎えに来るだろうし。
でも…じゃあどこに行けばいい…?
私は身体を窓から引っ込めて、鞄を持ち教室を出た。
行き先もなく只管廊下を歩いてると、ふと頭にある場所が浮かんだ。
「…生徒会室」
あそこなら鍵も掛かるし隠れられるかもしれない。
私は踵を返し、生徒会室へ急いだ。
相変わらず重い木製の扉を押し開けると、天井から吊るされたシャンデリアの真っ白な光が飛び込んできた。
眩しさのあまり咄嗟に目を瞑り、手で光を遮る。
「何してんの?」
突然耳に届いた低い声に驚き、肩がビクッと上がった。
「あ…会長」

