「ですが、今日は髪を下ろた方がいいかと思います」
「どうして?」
俺は車を学園前の通りに寄せて停車させた。
「…ここ、キスマーク。付いてます」
そう言って自分の首の裏を指差した。
「…っ!!!」
麗奈は想像通り…いや、それ以上の反応を返してきた。
耳や首筋まで一気に赤くして、目も泳いでる。
やっぱり気付いてなかったのか…
しかもその反応…特に怯えた様子もなく逆に恥ずかしがってる所を見るとその男に満更でもないんだな?
「…その反応、やっぱりキスマークなんですね?」
「…っ、こぅ…君…?」
俺は運転席から斜め後ろに座る麗奈の方へ身を乗り出し、麗奈の後頭部に手を当てて頭を引き寄せる。
麗奈が息を呑んだのがわかった。
俺は鼻先がくっついてしまいそうな所でシュシュを引っ張り取った。
支えが無くなった髪は、シャンプーの甘い香りを靡かせながらさらさらと落ちていく。
その香りが鼻を掠め、胸が高鳴る。
髪に触れたくなる衝動を抑え込んで俺は運転席に戻った。

