君のいる世界





その後、トミさんの手伝いをしてから麗奈の部屋に向かった。


そろそろ起きて朝食を食べないと時間がやばい。


ただでさえ食べるの遅いのに。




だけど、なかなかドアをノックする勇気が出なくて部屋の前でうろうろしていた。





俺は昨日、大失態を犯した。


あんなことするつもりなんてなかったのに…


自分が止められなかった。




事の発端は、麗奈が首筋にキスマークを付けて帰ってきた数日前…




下校途中に女の子が柄の悪い男達にホテル街へ連れ込まれそうになっている所を麗奈が助けに入った。


一瞬の隙を見て女の子と二人で逃げた麗奈は夜遅くに帰ってきた。


無事でホッとしたのも束の間、様子がおかしい。


目を合わせようともせず、挙動不審だった。


何かあったか問い詰めようにも、麗奈はその隙を与えようとはせず足早に階段を駆け上って行った。




その時、俺は麗奈のうなじに赤い腫れのようなものがあるのに気付いた。


最初は虫刺されだと思ったけど、麗奈の怪しい態度からしてキスマークだと確信した。


その瞬間、俺の中で何かがプチンッと弾ける音がした。


今にも麗奈を追い掛けて問い詰めたい衝動に駆られた。