おじさんの電話越しの声は心なしかいつもより上機嫌に聞こえた。
こうなるとおじさんは折れない。
顔は全然似てないのにこの辺が麗奈とそっくりで、やっぱり親子なんだと改めて思った。
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「…君!康介君!!」
「…へ?…あ、トミさん!おはようございます」
「おはようございます。珍しいわね。康介君がぼーっとするなんて」
「ははは…」
やばいやばい。
あの頃の事を思い出すと今でも深く入り込み過ぎてぼーっとしてしまう。
俺の悪い所だ…
「…恋、かしら?」
「え?ち、違いますよ」
慌てて否定するも俺が恥ずかしがってるようにしか見えてなさそう…
その証拠にトミさんは「ふふふ。青春ね〜」と笑って家の中に入って行った。
「はぁ…」
しっかりしろよ、俺。
たたでさえ昨日、麗奈にあんなことしちゃってどんな顔して会えばいいかわからないっていうのに。
俺は気持ちを入れ替えるように両頬をパチッと叩いた。

