「…麗奈、俺の前では無理すんな。泣いたっていい、おばさんの話をしたっていい。俺はお前の味方だ」
我慢ばかりしていたらいつか麗奈が壊れてしまう。
こんな小さい体で抱えきれる程の問題じゃない。
「俺が麗奈を一生守る」
兄貴として、谷本財閥に仕える者として俺が側にいるから。
麗奈は無数の涙で枕を濡らしながら、言葉の代わりに何度も何度も頷いた。
「ほら、もう少し寝た方がいい」
俺は掛け布団を掛け直して頭を撫でた。
その晩、麗奈の専属執事として雇って欲しいとおじさんに直接連絡した。
おじさんは条件付きで快諾してくれた。
『条件は大学卒業だ。自分の為にも大学に通わせてくれてる両親の為にも卒業はしなさい』
「それだと専属執事なんて務まりません!」
『あと二年だろう?卒業までの間は出来る日だけ学校の送り迎え、あとはそうだな…家庭教師をしてあげてくれればいい。あくまでも大学の講義に支障が出ないようにだ』
「おじさん!」
『そう慌てるな。康介君にはもともと大学卒業したら専属執事になってもらう予定だった。この二年間は試用期間みたいなものだ。頭の良い君ならしっかり両立出来るだろう?』

