麗奈が生まれた時、俺は天使だと思った。
真っ白で柔らかくて、手も足も何もかもが小さくて。
にっこりと可愛らしく笑いながら、俺の人差し指をギュッと精一杯に握ってきた。
その瞬間、心がぽかぽか暖かくなった。
当時7歳の俺は、子供ながらもこの子を守らなくちゃいけないって思ったんだ。
あの純粋無垢な笑顔を守るのが俺の役目。
俺はそのために谷本財閥に代々仕える柳田家に生まれて来た。
これが俺の運命。
これ以上、麗奈を傷つけないでくれ…
いつしか雨が降り、雷が空気を揺らしていた。
ーーーーープルルルル…
「麗奈ちゃんが見つかったぞ!○○病院に運ばーーー…」
麗奈が見つかった…?
俺は親父の言葉を最後まで聞かずに走り出した。
病室には社長であるおじさんとトミさん、それに親父がベッドの周りに腰を掛けていた。
麗奈に外傷はないものの、この雨で高熱が出たようで魘されていた。
犯人は間抜けなことにガソリンスタンドで麗奈に逃げられたらしい。
麗奈が搬送された後、防犯カメラにより犯人は逮捕された。

