「…その続きする?」
「…え…?」
「キスマークの後のこと。もう子供じゃないんだからわかるだろ?」
康君は私の耳元に唇を近付け、わざとらしく低い声で囁いた。
「…っ!」
その声と甘い吐息に鼓膜が震える。
ふと会長の顔が頭に浮かんだ。
柔らかくて暖かい笑顔、優しい瞳。
意地悪で強引で、胸を熱くするキス。
最初はあんなに嫌いだったのに、今はこんなにも大きな存在になってる。
「…っあ!…いや…」
耳朶に甘い刺激が走り、身をよじった。
康君は首筋に顔を埋め、首に軽く触れる程度のキスを繰り返す。
首に唇が触れるたび身体が痺れ、心が疼く…
「…や…っ、めて…」
私の声は届かなかった。
康君は首にキスの雨を降らし続けながら、右手で私の頬を包み首筋から肩そして鎖骨へと滑る。
私は康君のスーツの襟を皺が出来るぐらいに強く握った。
鎖骨を一通り撫で回した康君の指先は脇腹をゆっくりと滑り降りる。

