「…じゃあ、あの時の約束も忘れてるか?」
「約束?」
「ああ。病院に駆けつけた俺は麗奈と約束したんだ。俺が一生麗奈を守るって」
康君はその薄い茶色の瞳で、瞬きもせずに私を見つめる。
決意したような、迷いのない力強い瞳。
「その日の夜、社長にお願いした。俺に送り迎えをさせてほしいって」
知らなかった。
康君はずっと私を見守ってくれていたんだ。
「あの頃は大切な妹だと思ってたのに…こんな気持ちになるなんてな…」
「え?」
急に声が小さくなって何て言ったのかうまく聞き取れなかった。
「いや…まぁ、そういう事だから送り迎えをなくす事は出来ない。今後何かされたら絶対に俺に言えよ。俺が解決するから」
康君はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
どう解決するのか気になる…
だけどその不敵な笑みが、琴音ちゃんと一緒にいたチンピラ風の男達を懲らしめた時に見せたあの笑顔に似ていたから聞くのをやめた。
何となく、恐ろしくて聞かない方がいい気がした。

