「そんなことがあったなら尚更一人で通わせられない。今度は麗奈が何かされるかもしれないだろう?」
「わ、私は大丈夫だよ。少しだけど護身術ぐらい…」
「大丈夫じゃない。大人数で囲まれたら麗奈なんて簡単にやられる。何のために俺が今まで送り迎えしていたかわかるか?」
康君は呆れたと言わんばかりにため息交じりに言った。
何のためって…
考えたことなかったけど、お父さんの意向でしょ?
それとも他に何か理由でもあるの?
「何のためって…あの人が言い出したことでしょ?」
「違う。俺が社長に頼んだんだ」
康君が頼んだって何のために?
いくら頭を捻ってもわからなかった。
「覚えてるか?7年前のこと」
「7年前って、両親が離婚してお母さんがこの家を出て行った頃でしょ?」
あの頃はまだ小学生で、お母さんが学校の送り迎えしてくれてた。
だけど家を出て行ってから代わりに康君が送り迎えしてくれるようになったんだよね?

