六限目からずっと考えてた。
これ以上、騒ぎを大きくしたくない。
康君が学園に来なくなったからといって噂がなくなるわけでもないけど。
康君の過激なファンがいる以上、今後同じことが起こらないとは限らないし。
もうこんな事が起こらないようにするためにはその方がいい。
康君が来なくなったら過激なファンだって徐々に熱が冷めていくと思う。
今日はそれを伝えるために部屋に康君を呼んだわけなんだけど…
「…それは社長のご命令でしょうか?」
「う、ううん…私の独断だけど…」
「社長のご命令でなければお受け出来ません」
康君がそう言って怪訝そうな表情を浮かべた。
「ち、父には今日帰ってきたら話すつもり。だから…」
「社長は納得されないと思いますよ」
康君の眉間の縦皺がさらに深くなっていく。
不機嫌なのがビシビシと伝わってくる。
その表情に思わず息を呑んだ。

