私は抱き締めながら山下さんの頭をポンポンと撫でる。
「もういいよ…もう…笑わなくていい」
山下さんの身体に力が入り、私の制服を掴む力が強くなるのを感じた。
「ありがとう。守ってくれて…私、本当に嬉しかった。…一人で…怖かったよね」
複数人の先輩達に囲まれて、きっと酷い罵声をたくさん浴びせられて、こうやって頬を真っ赤に腫らすぐらい強く叩かれて…
こんなにも小さくて華奢な身体で、私を守るために闘ってくれたんだ。
さっきだって、私が自分を責めないように「大丈夫だよ」って笑顔でいてくれた。
今度は私が山下さんを守る番…
「…っう……ひっく…」
華奢な身体が小刻みに震え出し、肩越しに嗚咽が聞こえる。
震える小さい背中を宥めるように摩った。
ふと空を見上げた。
今日は何だか変な天気だな…
昼休みは雲なんてなくて気持ちのいい風が吹いていたのに、数分後には分厚い雲と雨の匂いが広がっていた。
今は雲が流れ、太陽が再び顔を覗かせ始めている。
銀色のフェンスに太陽の光が反射して眩しい。
まるで私の心の変化を映し出したかのような天気に笑みが漏れた。

