とりあえず今は山下さんの所に行かなくちゃ。
私は頭の中から村内さんの鋭い瞳を取り払うように、目をギュッと瞑って小刻みに頭を左右に振った。
二階から階段を駆け上って三階を素通りし屋上を目指す。
途中、生徒会室で会長から聞いた事を思い出した。
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「お前、誰も信じれないって言ってたけど、山下は信じてもいいんじゃね?」
「…どういう事?」
「お前が走ってった後、集まってた奴らの前で必死にお前を庇ってたぜ。あの噂はデマだ、これ以上変な事を言ったら私が許さないって」
山下さんが…私を……?
あの時は確か廊下にたくさん人がいた。
あんなにもたくさんの人の前で、皆が私を軽蔑している中で味方するようなことを言うなんて。
どんなに怖くて、どんなに勇気がいた事か…
私だったらその後の周りの反応が怖くて見て見ぬ振りをしてしまうかもしれない。
一人で反感を買うようなこと出来ないよ…
なのに山下さんは……

