“龍馬。お友達を外で待たせてはダメょ。”
優しい話し方
“どうぞ。中へ…”
“お邪魔します。”
彼女は白い棒を傘立てに立てかけると 颯爽と廊下を歩く
俺は どうしていいのか分からず 柄にもなく 自分の靴を揃えてみたりした
“神崎さん。こちらへ、どうぞ…”
俺は呼ばれるまま 声のする方へと向かう
リビングルームだ
テレビの前には 大きなテーブルがあり
それを取り囲むように ソファーが 置いてあった
彼女は いそいそと対面キッチンへと向かい グラスを出していた
“姉さん、おかえり。今日は早かったんだね。僕がするから、変わって…”
龍馬は 俺がリビングにいる事に気がつかないようにして 彼女の側へと駆け寄った
“龍馬。お友達を連れて来るなんて珍しいわね。でも、学校の人ではなさそうだけど…”
彼女は 俺に聞こえるように 意地悪気に龍馬に言う
“たけるサンが、あいつら達から助けてくれたんだ…”
“…そぅなの…。神崎さん、本当にありがとうございます。”
“いや。俺はべつに大した事してないっすから…”
彼女は 何も言わずに俺の方を見ながら 優しく微笑んだ



