今まで何があったか知らない純ちゃんは、里中君の顔をのぞき込んで笑顔で挨拶していた。
「亮くん?よろしくね!私、高田 純子♪」
「おぅ。よろしく。」
純ちゃんってば。
あっちゃんがいるといい子ぶるんだから。
純ちゃんが遅刻しなかったら、恥かかなかったのに!
…あぁ。
また被害妄想に浸っちゃう…。
悪い癖だよね。
怒ったり反省したり、そんなことを続けていたら里中君がこっちを見ていた。
「…七瀬。」
「あっ!はい…?」
「俺、変質者じゃねぇから。」
うっ…。
ばれてたんだ。
そりゃ、あんな訳分からないこと言ったもんね。
き……気まずい。
「里中くん?…あの。その~…ごめんね?私、被害妄想激しくってさ?」
「あ?別に気にしてねーよ。」
「そっか…。」
モヤモヤしている私を置き去り、純ちゃんはあっちゃんと楽しそうに前を歩いて行く。
初対面の男の子とって気まずいな。
何話したらいいかわかんないよ。
「それよりさ。…お前バスケ部なんだろ?」
「あ、うん!……っていっても、本当初心者なんだけどね?」
「バスケは練習したらいくらでも上手くなれっからな。俺も最初は全然シュート決まんなかったし。」
…あれ?意外と優しい感じなんだ?
もっと怖い人かと思ってた。
