「君の殺害を阻止するには、今このタイミングで騎士団に入団させるわけにはいかないんだ。
7人には歴史書とは別の形でラムルにいてもらわなくちゃいけない、それはとても難しいことだけれど、でもそうしなきゃ7人は殺害され『来るべき日』に勝利できない」
「………それで、お前はどうするというんだ」
「できれば君には俺達と来てほしい。
歴史書に違反して、それでどう展開するかは実はまだ未体験なんだけれど」
「…………」
クリストハルトは天井を仰ぎ、深く息を吐いた。
信じられる話ではないが恐ろしい話であり、占い師や預言者というのに免疫が無い彼は、「そんな馬鹿な」で笑い飛ばせはしなかった。
胸の奥に黒い塊がたまって、心臓の鼓動を抑えつけている。
脅迫にも似た感覚だろうか。
それは少なからず彼が感じ取った危機感である。
人のいなくなった大きな廃教会で、ステンドグラスに通る光がうっとおしいほどにきらめいていた。
あの天使は嘲笑しているのか。


