アルガドート・サーガ







 アルガドートに日が昇り、にわかに神殿内は慌しさを増した。


―……古の姫巫女、ユラ・アルナーンの復活?
―……マドリード様の声に、応えられた…?


神殿内のあらゆる立場、年齢の者達が口々に噂する。
その噂は、またたくまに神殿内を駆け巡り、ついに長老派のトップであるラダムス・ジュリルの耳にも入る事になる

 彼は、怒りのあまり拳を固く握り締めると執務用の机を力任せに叩き付けた。

「ユラ・アルナーンだと…!シュリム、それは真か」

「は、はい~。なんでも、姫巫女の棺の傍で眠っているところを保護されたそうです~」

シュリムと呼ばれた女性はおどおどと答えると、ラダムスの機嫌がなんとか直ることを心中で祈った。
しかし、彼女の返答はますます彼を怒り狂わせた。

「神は!アルガは!我よりもあのような小娘を選ぶというのか……!これでは、なんのために前教皇を退陣においやったのか…ッ」

「あ、あのぉ~。午後一時より、マドリード様が報告のための議会を開かれるそうですが~…」

シュリムがおずおずと言い出す。ラダムスは怒りで肩を震わせつつ、シュリムを睨みつけた。

「出席しろというのか、我に。あの、小娘め……ッ!いいだろう、私にも考えがある。その、ユラが本物のユラであると認めさせなければいいだけッ」

邪気を纏った顔で、ラダムスは奥歯を噛み締めた。
 乱暴に外套を引っつかむと、ラダムスはシュリムには目もくれず自室から出て行った。すぐに始まるであろう、議会に赴くために。