アルガドート・サーガ

「俺か?今は故あってここに世話になってるけどな。本来は-……、ここは、俺みたいな人間が出入りしたらダメな場所なんだけどな」

自嘲の笑みを浮かべつつ、ハロルドは呟いた。
痛みを抱えた者独特の雰囲気とでも云うのか、ユラはハロルドの抱えるものが何かはわからなかったが、その「痛み」には共感できるところがあった。

「……あなたが、何を気にしているのかわからないけど。マドリードが、居て欲しいって言ってくれているんでしょう?それなら、充分その資格はあると思うよ」

ハロルドは驚いたように目を見開くと、すぐに満面の笑みになった。

「な、なにかおかしいこといったかな?」

「いや、そんなことねぇよ。ただ……、昔同じことを、別のヤツに泣きながら言われた事があったなぁと思ってさ」

ハロルドが、あまりにも愛しげに呟くので、ユラは心の中が暖かくなるのを感じつつ頷いた。

「大切な人に、言われたのね。それなら、あなたは大丈夫ね」

ハロルドも自然と頷く。

「あー……。これ、みんなには内緒な。なんか、カッコわりぃから」
はにかんだように笑うハロルドにユラは笑いかけつつ、しっかりと頷いた。