細い眉を、困ったように寄せて。
曖昧な笑顔で誤魔化す君を追い詰めた。


「誰にやられたの?」


どんなに気を使っても、棘が纏った声になってしまう。
そんな僕に少し君は脅えてたけど、それでも嘘を重ねた。

「転んだの」
「転んでそんな傷がつくか」
「……っ、何回も転んだの」

小さな身体、傷だらけの君。
美味そうな血液が主張するように綺麗な肌を滑った。


血小板はまだ働かない。
血が固まるまでもう少し。


どれだけ冷酷に睨んでも、君は一歩も引かない。


「……次は」
「……」

「いや、気をつけろ」


君はほっとしたように肩の力を抜いて頷いた。

綺麗なタオルで傷口の泥を拭い、
不快な香りを放つ薬を白い包帯と一緒に巻いた。

ふいをついて一瞬だけ抱きしめれば、
そんな薬の匂いさえも哀しい甘美な香りに消されてる。


全ての傷口を手当てし終えたら、君は眠りについた。


柔らかい頬にそっと触れ、
艶やかな髪を一度だけ梳いて、

君が負った傷を包帯の上から確認して。


僕は闇に溶け込んだ。


ちょっとだけ待っててね。
もう二度と君が傷つかないように。


悪い兎を×××……てくるから。









それじゃ、行ってきます。


#03.Care
(君を傷つける兎狩り)
(息絶えるまで可愛がってあげる)