君と遥か。

トントントン

お姉ちゃんが料理している音が響く。

カチャッ


『あ、龍人…、真帆。』

『お姉ちゃん。私、大学生になったら家を出るから。あと一年間。よろしくね。』

『姉ちゃん?!』

『…龍人も来る?ううん、龍人はお姉ちゃんと離れられないから無理だよ。』


私は、この家にあまりいたくなかった。
もちろん、おかあさんとの思いでは捨てたくないし、捨てない。

だけど、いえにいるのが辛いから。


『じゃ、練習のために私は自分で自炊するからさ。これからはお姉ちゃん三人分だけでいいよ。』

『ちょ、真帆。』

『私は本気だから。』


龍人は涙目で私の服をつかんでいた。


『どうしたの、龍人?』

『俺…俺…、姉ちゃんについていくっ…。』


龍人はそんなことを言い出すのは予想外で、お姉ちゃんも絶句していた。


『でも、貧乏になるかもしれないし。』

『それでもいいっ…。この家にいるよりずっといいっ…。』


こんなに龍人が私にしがみついてきたのははじめてで。
止めることはできなかった。