『…お姉ちゃん…。これは…』


『…うん。お母さんからの手紙。』

『どうして今さら出すんだよっ…。』

『…龍人？』

『俺…、もう寂しさから抜け出せないよっ…。いつも父さんと優里ねぇは話してて、俺と姉ちゃんは仲間はずれかよ。』

『そんなことっ…』


龍人…。


『あるだろっ…。俺らはそう感じてるんだよ。なんで隠してたんだよ。なんで見せてくれなかったんだよ。』

『お姉ちゃん。どうして見せてくれなかったのか教えて？』


私は静かにお姉ちゃんに問いかけた。
お姉ちゃんは、静かにはなしはじめた。


『これはお父さんと決めたことなの。あなたたちはその頃まだ小さくて、悲しみに埋もれないようにって。』

『…今龍人は悲しみに埋もれてて。私は自分自身を責めているのに？それを見せてもらっていればそんなことなかったのかもしれないのに？』


私はついきつい口調で返してしまった。

でもそれには理由があった。
だって…龍人は私たちの前では一切泣いたことなんてなかった。
お母さんが亡くなったときも。

でも、今泣いていたから。
そんな龍人の気持ちがいたいほどわかったから。


『…それはっ…』

『…お姉ちゃんやお父さんにとって私たちは所詮お子さまなんだね。』

『ちがっ…』

『ちょっとほっといて、』


滅多に口答えしない龍人が、このときはお姉ちゃんを睨んで私をつれて部屋にかけていった。