鮮烈な赤に酔う






「……こんなにいい部屋に泊めていただいていいんですか?」

「どうせ部屋は余ってんだ、どこでもいいだろ」



キラキラした目で部屋を見渡す藤原を見ると、なんだか小動物でも見ているような気分になる。

しばらく部屋の設備やらの説明をして、注意事項を喋ったが、そのあいだも藤原はずっとそわそわしていた。



「あの、本当にありがとうございます」



しばらくして、俺が部屋から出ていこうとしたとき、背中に声が飛んできた。

組のやつらに向けていたような明るい声ではない。

世の中をうまく渡れるように仕込まれた、相手の機嫌を伺うような声。

俺はこの声を何度も聞いてきた。

藤原らしくない、固くて、俺の嫌いな声だ。



「本当に、なんてお礼すればいいのか。私なんかがおかしな行動を取らなければ、こんな事態にはならずに、先輩にも迷惑かけずに済んだのに、ッ」



こいつ、なんで泣きそうな顔をしてやがるんだ。