【Kouga】
強面ばかりの東雲組で、こんなにも馴染んでいた女子高生がいただろうか。
まず、ここにきた目的が今までの女どもと違うから、というのもあるんだろうが……。
「おい藤原ァ! いつのまに組のやつらとプロレスやれるほど仲良くなってんだ」
「し、東雲先輩ッ……コブラツイスト決まってます、死にます、私」
普通厳つい男どもとプロレスするか?
それもなかなかいい勝負じゃねぇか……と、とりあえず止めるために藤原の方にコブラツイストを決めておく。
「お嬢なかなかやるなぁ、さすが若が認めたやつだぜ」
「おい、俺は何もこいつを認めて家に連れてきたわけじゃねぇぞ」
「私がどうしてもってお願いしただけですよね! 皆さんあんまり東雲先輩を疑わないでくださいよ~! ね! 先輩!」
「よくわかってんじゃねえか」
「だったらこのたくましい腕離して!!!」
痛い痛い、と腕を殴る藤原。
限界です、とか言いながら意外に殴る力は強い。
本来、藤原に当てる部屋に連れて行くことが目的だったから、そのままの体勢で移動しだした。
やめてください……と声も細くなり始めた藤原を引きずる俺の背中を、
組のやつらがにやにや見送っていたのには全く気付かなかった。

