【Haduki】



「うまい……嫁に来て、佐助さん」

「そんな涙目で言われると俺引いちゃうんだけど」

「だって……こんなの……故郷の味じゃん、母じゃん」

「違うけど」


東雲家の居候となって一日目の夜ご飯。

東雲さんのとこの調理番をする佐助さんは、調理師学校に通う19歳。

いわゆる組同士の抗争だったりには手を出さないらしいけど、包丁さばきは辻斬りのように鋭いとも……。



「東雲先輩は毎日こんなにおいしい料理を食べてるんですか? 美人の女の人も侍らせてるし? 授業もさぼれるし? 理不尽だ……」

「途中から全く佐助関係ないじゃねぇか」

「まあまあそれは置いといて。でもホントに素敵なお宅ですよ、皆さん面白い人ばかりだし。やっぱりご飯は美味しいし」

「てめぇは一人暮らししてるんだったか」