【Haduki】
東雲先輩が、伊勢先輩を先に校門の外に出した。
どうやら校門のところにいるのは東雲家の車らしく、
執事のような人に、伊勢先輩は案内されていた。
伊勢先輩を離したってことはなんだ、
私が危険だって?! え?!
「おい藤原」
「なんですか東雲先輩。忙しいんでしょう、早く帰った方がいいかと」
「さっきの伊勢と対応が全然違うんだが」
「じゃあなんですか、先輩を丁重に送り出せって?!
笑顔で? 超意味わかんねぇ!」
「口調」
「いっけねぇ!」
何を不機嫌になっているんだ東雲君。
君は丁重に送り出されないと気が済まない坊ちゃんか!
あ……組の若頭……。
「すいません。でも私、超正直者で
美しいものが好きなんで」
「知ってる知ってる。俺も十分美しい部類だろ馬鹿野郎」
「もちろんです、でも私、魂のない美しいものは嫌いです」
「は……」
先輩は、わからない、と顔をしかめた。

