教師――――鳩羽が去り、俺は美術準備室の扉に手をかける。 鳩羽と話していたのはここからは離れているし、静かに歩いてきたから、藤原は気づいていないだろう。 『才能――――サイノウ、ね』 これまで見た藤原らしくない、硬い声。 引き戸を開けようとした俺の手が思わず止まる。 才能。 まるでそれを忌み嫌ったような声。 らしくねぇな。