アゲハ蝶の恋【短編】



最後に優しいキスをした。





目を開けると、もうアゲハの姿は無かった。







代わりに、高島の手の中には優しくアゲハ蝶が包まれていた。








「アゲハ……。」








名前を呼んでもアゲハ蝶はピクリとも動かなかった。







「一緒に桜見るって言ってただろ……っ!!




何で……

俺を一人に……っ。」







手にはアゲハが握ってくれていた感覚が残っていた。




背中にはアゲハが抱き返してくれた感触が残っていた。






「アゲハ……。」