アゲハ蝶の恋【短編】






ズキッ





また頭痛。






『お別れだね。』





ズキッ






また頭痛…。






『桜、一緒に見たかったなぁ……。』






涙が一粒、





また一粒、




涙は地面に型を残し、寂しげににじんでいく。








ゆっくりと目を閉じた。







「アゲハッ!!」






大きな声が聞こえた。






「アゲハッ!!」


『……高島君?』





前を向くと、息切れしながら走って来る高島がいた。






『どうしたの?』


そう聞く前に高島が口を開いた。



「この馬鹿!心配しただろうが!!」



そう言って高島はアゲハにデコピンをした。



『痛い…。』



「家も電話番号も分かんねぇし、ちょっと胸騒ぎがしてお前探しまわってた。

お前、あの時何か変だったし……。」






そして、高島はアゲハを抱きしめた。





『ごめんね、心配かけて。』



「もういいよ。」








アゲハは高島をギュッと抱き返した。